保育士の給料事情

なぜ保育士の給料は安いと言われているのか

残念ながら保育士のお給料は高いといえない

長年、保育士として勤務し今園長という立場になっていますが、保育士の給与については残念ながら高くなっているとは言えない状況です。
ほかの職業と比較しても、勤務年数によって上昇していく幅も狭く、20年働いても月額20万以下という人もいます。
こうした給与の低さも保育士という仕事に躊躇してしまう要因となっていることは事実です。

保育士の給与が離職率の上昇が要因となっていることは事実で、保育士が少なくなってしまったことで保育園側も園児を増やしたくても増やせないなど、地域によって問題となっています。
だったら保育士のお給料をあげればいいのですが、そこには様々な理由や歴史があり、一筋縄に行かない問題となっているのです。

保育士の給与が低い理由とは

保育園は昔から存在していますが、保育園という施設ができる以前、子供は自分の家で育てるものという考え方が根強く残っており、通常、お父さんが働きお母さんは家を守るということが普通といわれていたのです。
当時も共働きが多かったのですが、祖父母に見てもらう、知人に預ける、自営の場合、働きながら育児するなど、まったく交流がない人に子供を預けるということは考えられなかったようです。

その後、日本初の幼稚園「幼稚遊嬉場」が誕生、さらに本格的な幼稚園が1876年に誕生します。
しかしあくまでも英才教育目的の施設で、婦人労働を支える共働き家庭のための幼稚園、現在の保育園の原型ができたのは、1887年になってからです。
ただ、保育士の場合、幼稚園教諭とは違い親に代わって保育するもので、プロ、資格者であってもその地位は軽視されてきたという背景があります。

財源が少ない、運営費に苦労する保育園

園長という立場になると経営にかかわることになりますが、この立場近くなってくると、保育園の経営というのは厳しいと感じるようになるのです。
保育園は国や都道府県などの自治体からの補助金、さらに保護者の方々からいただく保育料によって賄うことになります。
無認可保育の場合、一部を除き補助金はないので保護者からの保育料のみで運営することになり、これもまた非常に厳しい状態です。

それに保育園というのは、認可、無認可ということに関係なく、人件費を抑えて余った分を営利目的に利用するという風潮がどこかしらから生まれ、今も根付いているような状態となります。
保育の質を考える、またこれから保育士をより多くすることを考えると、より人件費さく必要がありますが、現状は3割から5割という状態です。
この営利目的ということも、保育士の給料を低くする要因となっています。