これから保育士になる方はやる気に満ちているかもしれませんし、今保育士として活躍されている皆さんも、子どもたちの成長に尽力されていると思います。その中で、これから保育士になる方も今活躍されている方も今一度考えてほしいことが、保育観です。
自分が受け持つ子ども、また園でかかわる園児たちにどんなふうに成長してほしいのか、そのために自分ができることは何かなどを考える事が保育観といえます。
園長として働く私も、保育観について常に思い返し、どうあるべきなのか、どう対応すべきなのか、保育観を中心に様々なことを考えて実行すべきと思いを新たにしているのです。保育観について私と一緒に考えていきましょう。
保育観とは
保育観を一言でいうと、子どもの保育で自分が何を一番大切にしているかということです。これは人それぞれであり、私とあなとでも大切にしていることは違うでしょう。例えば、
- 「子どもは、みんな平等に扱わなければいけない」
- 「子どもに嘘をついてはいけない」
- 「子どもと接するときは必ず同じ目線で、目を見ながら話をする」
などなど、子どもに接する私たち保育士の態度はそれぞれです。
そうしたルールは大変素晴らしいものですが、正義感とも似て個人的でもあります。
一方、保育園という共同で働く場所を基準として出てくる保育観はもっと客観的になります。
「保育園とは何か」そこから出てくる保育観
保育園はどういう場所なのか、それは園によって違うものとなりつつあります。
早期教育などを積極的に取り入れている保育園もあり、その場合、教育ということが主軸にありながらも、お子さんの健やかな成長を望む園です。この場合、通常の保育園の在り方と変化している状態となります。
保育園というのは、お子さんが家庭で過ごすのと同じように、お庭で遊んだり、室内で遊ぶなど、生活の場となるところです。
保育園によっては早朝から夜19時まで延長保育を行っているところもあり、園によって様々になります。
しかし、お子さんが保護者以外と長い時間を過ごす場所ということに変わりないので、お子さんが安心して過ごせる場所でなくてはならないと強く思うことも保育観の1つです。
働く保育園を選択するために保育観を持つ
個別教育を積極的に行う園も多くなり、その保育園に勤務する保育士の中には、子どもが持っている可能性を引き出したいと考えている保育士が多いと思います。また外でたくさん遊び、雨の音や風の音、お天気の時の木々の色等、感性を伸ばすための保育をしたいと願う保育士も多いです。個性ある教育を行っている保育の場合、お子さんがそれぞれにこれをしたいと思うことをどんどんやらせて、自分で考えて行動できる保育をしたいと考える保育士が多くなります。それぞれが持っている保育観は、往々にして働く場所を選択する要因ともなるのです。
保育観は働く保育士として働く原動力
保育観を持つことで仕事について責任を持てるようになる、また自信を持つこともできるのです。
未来を担う子どもたちをどんなふうに見守り保育していくのか、しっかり考えていくと仕事のモチベーションも高くなります。私が若いころ経験したエピソードを紹介します。
園長先生の言葉
自分がどういうことのために、保育士として働いているのか、それがわからなくなると仕事のモチベーションが落ちてきます。
私なども新人の頃には、保護者の方からいろいろ意見され、非常に迷い戸惑ったこともあるのです。親御さんが言うとおりに保育をしてあげたいと考えてしまい、自分の保育観をしっかり持っていなかったことでその意見に振り回されてしまったのです。
しかし当時の上司、新人保育士の当時の園長先生に「あなたはどういう保育をしたいと思っているの?親御さんのいうことを全部聞くことはできないのよ」といわれて吹っ切れたことがあります。
保護者の意見は大切、でもだからといって方針をまげて、保育観をつぶして保育をすることは間違っていると思ってからは、自信をもって新人なりに親御さんに対応できるようになり、だんだんと意見されることもなくなっていったということがあります。
新人保育士が陥りがちな罠
しかし、当事者になると周りが見えず悩みを全部ひとりで抱え込んでしまう保育士の方も少なくはありません。その悩みは一時的に消えたとしてもループしてまた自分に戻ってくるものです。信頼できる先輩や園長先生の保育観を聞くことで、保育士としての本当のやりがいを見つけるヒントをもらうことができるでしょう。そうすれば、保育士の仕事がどんどん楽しくなり成長してゆくことができるのです。誰かに相談する勇気を後押ししてくれるベテラン保育士の言葉【ベテラン保育士によるお悩み相談所】はそんなあなたの手助けになるかもしれません。
まとめ
保育観を持つことは時として自分を苦しめることになるかもしれません。しかし、そうしたことを大切にしながらも、自分が働く保育園の保育観を照らし合わせて判断することが保育士として働くのに必要な保育観だと私は思っています。